主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は22日、共同声明を出し、亀裂を抱えながらも結束を演出した。声明からは、これまでの議論の積み重ねを脇に置いてでも、米国が受け入れ可能な文言を使い、声明の発出を優先した議長国カナダの苦心がうかがえる。その背景には、G7が危機に陥った7年前の苦い記憶があった。
「違法な侵略」
22日昼、G7会議終了後の記者会見で、議長国カナダのシャンパーニュ財務相は「違法(illegal)」という単語を明らかにゆっくりと発音して、ロシアによるウクライナ侵攻を非難した。
侵攻を国際法違反だと批判してきたG7のこれまでの立場を、カナダとしても引き継いでいることを強調したものだ。G7が主導してきた対ロ制裁の正当性のよりどころでもある。これまでのG7声明では「ウクライナに対する違法で、不当で、いわれのない侵略戦争」などと厳しく非難していた。
だが、この「違法」という言葉は、今回の声明では使われなかった。3月に開かれたG7外相会合の共同声明に続く措置だ。というのも、ロシア寄りとされるトランプ政権の発足で、こうした厳しい表現の継続使用は難しくなった。今回の声明では「違法な侵略」は「残酷な戦争」という情緒的な表現に置き換えられ、米国への配慮が強くにじんだ。
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